あちこちで見かけるアポストロフィ。でも、
意外と正しく使えていないかも。。。
と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
1つ目は、名詞にアポストロフィ+sを付けることによって所有を表すこと、2つ目は「it’s」などのように短縮形を作ること、3つ目は省略を表すことです。
この記事では詳しく、
- アポストロフィの使い方
- 場合別アポストロフィの使い方
- 特殊なアポストロフィの使い方
についてシェアしたいと思います。
アポストロフィの使い方
アポストロフィの使い方は以下の3つです。
- 所有を表す
- 短縮形を作る
- 省略を表す
①所有を表す
名詞の後に、アポストロフィとS(’s)を付けることによって、所有を表します。
company‘s president
所有を表す表現には、他に、
- ofを使う(president of the company)
- 名詞を形容詞的に使う(company president)
と言う方法があります。
②短縮形を作る
1つ以上の文字を省略し、単語を短縮したときにアポストロフィを使います。アポストロフィは、省略された文字の位置におきます。
このアポストロフィの使い方は、フォーマルな文書では避けるべきとされています。
ブログ主のこれまでの外国人とのメールなど文書のやり取りでもこの短縮形は見たことはないため、ビジネス文書、メールでの使用もお勧めしません。
短縮形 | 元の形 |
can’t | cannot |
won’t | will not |
isn’t | is not |
I’ll | I will/ I shall |
He’d | He would/ He had |
She’d’ve※ | She would have |
※短縮されているところが二か所あるため、アポストロフィが2つ付いています。
口語を書きおこした時の短縮形に使うアポストロフィ
例えば、以下のようなものです。
Singin‘ in the rain(「singing」の短縮)
Rock ‘n roll(「and」の短縮)
この使い方は口語を書き起こしたものなので、ビジネス文書では使用できません。
o’clock, Hallowe’en, Jack O’Lantern, ma’amの元の形
英単語の中でよく見かける「o’clock」「Hallowe’en※」「Jack O’Lantern※※」「ma’am」のアポストロフィも、単語を短縮するために使われています。
短縮形 | 元の形 |
o’clock | of the clock |
Hallowe’en | Halloweven |
Jack O’Lantern | Jack of the Lantern |
ma’am | madam |
※アポストロフィが省略された「Halloween」が一般的です。
※※Jack-o’-Lanternとも書きます。
③省略を表す
アポストロフィを使って、単語の途中を省略することができます。
このアポストロフィの使い方も、フォーマルな文書では避けるべきとされています。
エクセルのセルの中や、ワードの表の中など、場所が限られているところでは使用できますが、普通のビジネス文章の中での使用は避けた方が無難です。
省略形 | 元の形 |
Con’d | Continued |
Dep’t | Department |
Int’l | International |
※同じ省略形で、ピリオドを使った「Cont.」「Dept.」「Int.」もよく使われます。
場合別アポストロフィの使い方
西暦を省略するときの、アポストロフィの正しい位置
アポストロフィを使って4桁の西暦を2桁に省略する場合は、アポストロフィは残った二けたの前に付きます。
アポストロフィは、短縮・省略があるところに付けるのが基本です。
’21(2021年の省略)
年代を表す場合に、アポストロフィを使うのか
年代を表す場合は、アポストロフィは使いません。特に、短縮・省略がないからです。
正)2020s/ ’20s
誤)2020’s/ 20’s
誤)’20’s
※アポストロフィありの「2020’s」と書かれる場合もありますが、ビジネス文書ではアポストロフィを省ける場合は省いたほうがいいので、使わない方が無難です。
Sで終わる固有名詞(名前)にアポストロフィを付ける場合
単数の固有名詞(名前)の場合
- アポストロフィだけ付けて、Sは付けない
- アポストロフィとSを付ける
のどちらも可能です。
スタイルの問題なので、どちらかが正解と言うことはありません。
正)Charles‘ room
正)Charles‘s room
※話す時は通常「Charles-es room」となり、書いた時にアポストロフィ+Sがあるように話されます。
複数形の固有名詞(名前)の場合
アポストロフィだけを付けて、Sは付けません。
the Harrisons‘ garden(ハリソンさんの家族の庭)
Sで終わる複数形の名詞にアポストロフィを付ける場合
名詞の複数形がSで終わっている場合は、アポストロフィだけ付けて、Sは付けません。
teachers‘ room(先生たちの部屋)
※Teacher‘s roomは、先生(一人)の部屋です
名詞の不規則な複数形、例えばchildrenやbacteriaなど、Sで終わらない複数形の単語の場合は、通常通り「’s」を付けます。
children‘s room(子供たちの部屋)
省略・短縮された名詞にアポストロフィを付ける場合
通常と同じく、アポストロフィにSを付けます。
ABC Inc.‘s headquarters(ABC社の本社)
FBI‘s most wanted(FBI最重要氏名手配リスト)
2人で同じものを所有している場合、アポストロフィはどこに付くのか
2人で同じものを所有している場合は、アポストロフィは最後の人に付けます。2人以上の場合でも同じく、最後の人だけにつけます。
Mary and Bob‘s car(メアリーとボブが同じ車を所有している)
所有代名詞とアポストロフィ
誤)Mary and my car
誤)mine and Mary’s car
正)Mary’s and my car
誤)he and Mary’s car
誤)him and Mary’s car
正)his and Mary’s car
誤)you and Mary’s car
誤)Mary’s car and yours
正)Mary’s and your car
2人の人が同じ種類の別のものを所有している場合、アポストロフィはどこに付くのか
例えば、2人がそれぞれ別の車を所有している場合は、それぞれの人にアポストロフィとSを付けます。
Mary‘s and Bob‘s cars(メアリーとボブの車…2台ある)
所有代名詞にアポストロフィを使うのか
所有代名詞には、アポストロフィは使いません。
誤)Is this your’s?
正)Is this yours?
マクドナルドを所有格にしたい場合、どうするのか
マクドナルド(McDonald’s)は、単語自体がすでに所有格になっているので、それを所有格にするときは、アポストロフィもSも付けません。
このパターンはレストランの名前などではよくあり(例えばWendy’sなど)、その場合も同じです。
McDonald’s menu(マクドナルドのメニュー)
特殊なアポストロフィの使い方
名前に付いているアポストロフィ
名前に付いているアポストロフィは、何かが短縮または省略されているわけではなく、英語には他に名前の音を表記する方法がないため、付いているものです。
- O’Leary(アイルランド系)
- O’hara(アイルランド系)
※M’Tavish (MacTavish…スコットランド系の名前の省略形)
文字が複数であることを示すためのアポストロフィ
例えば、以下のような例です。
アポストロフィがないと、意味が分からなくなる可能性があるため、アポストロフィを付けます。
Hawaii has two i’s.(ハワイには「i」が2つ付いている)
NTT has two t’s.(NTTには「t」が2つ付いている)
単語として使う大文字の場合は、使っても使わなくてもかまいません。
正)I got straight As.(成績が全部Aだった)
正)I got straight A’s.
古典英語のアポストロフィ
以下の使い方は古語であり、現在は通常使用しません。
短縮形 | 元の形 |
‘tis | it is |
o’er | over |
‘twas | it was |
e’en | even |
例:シェークスピアのハムレットから
有名な「生きるべきか死ぬべきか」という一節の次に、アポストロフィを使った短縮形が出てきます。
To be, or not to be: that is the question:
Whether ‘tis nobler in the mind to suffer…
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参考文献、サイト
University of Sussex
Yourdiscionary
D.セイン「英語ライティングルールブック」DHC、2004年