学校で習う英語では、単純に、Yes/Noで答えられる疑問文は上げ調子になり、5W1Hで聞かれる疑問文は下げ調子になる、と習うと思います。
しかし、イントネーションは、話している人がどう感じているかを表すものなので、単純にYes/No疑問文なら上げ調子、5W1H疑問文なら下げ調子とは言えません。
そこでこの記事では、
- 英語のイントネーションとは
- 英語のイントネーションの種類
- 英語の疑問文の語尾、そのイントネーション一覧と詳しい説明
についてシェアしたいと思います。
英語のイントネーションとは
イントネーションとは
イントネーションとは言葉を話すときの声の高低、または上がり下がりのことです。
英語のイントネーションは、
- 文章全体を通して、ピッチが高くなったり低くなったりすること
- 1つの単語の中で、音が上がったり下がったりすること
の両方を示します。
イントネーションが意味すること
イントネーションは、話している人がどういう感情を表したいかを示しています。つまり、どんな感情を表したいかによって、イントネーションは変わります。
ですので、
ことがあります。
イントネーションのパターン
イントネーションには一定のパターンはあります。
しかし、イントネーションは話し手の感情を示すものなので、
- 人によって、国や地域によって同じイントネーションが違う意味になることがある
- 同じ感情を示すのに、違うイントネーションを使うことがある
ことには、注意が必要です。
イギリス英語とアメリカ英語でも、イントネーションには違いがあります。
英語のイントネーションの種類
英語のイントネーションの種類は、大きく3種類あります。
下降調、上昇調、下降上昇調です。
下降調
下降調とは、普通の文を終わるときによく使われ、「終わり」「確実」と言うことを意味します。
「↘」の記号で表されます。
上昇調
上昇調とは、相手に質問したいときによく使われ、「未完」「継続」「不確かさ」を意味しています。
「↗」の記号で表されます。
下降上昇調
下降上昇調とは、いったん下がった後に上がるイントネーションで、特にアメリカ英語で多く、ニュース番組でよく使われます。「次に何かが続くこと」「丁寧さ」、また「よくわからない」ことを意味しています。
例えば、”well….”, “hmm…”と言うとき、”one, two, three…”と数を数える時(除く最後の数字)は下降上昇調です。
「↘↗」の記号で表されます。
英語の疑問文の語尾、そのイントネーション一覧表
以下の表は、英語の疑問文の語尾のイントネーションについて、上がるとき(上昇調)、下がるとき(下降調)で、どんな意味になるのかをまとめたものです。
詳しい説明は、表の後に続きます。
Yes/No疑問文
気持ち | 上昇/下降 |
含みなく、ただ単に聞きたいとき | 上昇↗ |
依頼したいとき | ↗ |
より強硬に、厳しく答えを求めたいとき | 下降↘ |
いらだちを伝えたいとき | ↘ |
コメントしたい、相手の答えがわかるとき | ↘ |
すごいと思う気持ちを言いたいとき | ↘ |
命令したいとき | ↘ |
付加疑問文
気持ち | 上昇/下降 |
含みなく、ただ単に聞きたいとき | 上昇↗ |
提案、依頼、容認を求めたいとき | ↗ |
※上司が部下にするときは | 下降↘ |
確認を求めたいとき | 下降↘ |
日常会話で、 驚き、関心、怒り、心配、皮肉を表したいとき |
上昇↗ |
5W1H
気持ち | 上昇/下降 |
含みなく、ただ単に聞きたいとき | 下降↘ |
提案したいとき | ↘ |
丁寧、興味・関心、困惑、控えめにお願い、 皮肉、不平、避難、励ましたいとき |
上昇↗ |
新しい話題を始めたいとき | ↗ |
もう一度確認したいとき | ↗ |
Yes/No疑問文
上昇調
含みなく、ただ単に聞きたいとき
Is there a meeting scheduled for tomorrow?↗
明日ミーティングってセットされているんだっけ?
依頼したいとき
Would you give me a call tomorrow?↗
明日お電話いただけますか?
下降調
より強硬に、厳しく答えを求めたいとき
社員A:Are you going for a business trip to NY?↗
NYに出張に行くの?
社員B:Excuse me?↗
え?
社員A:Are you going for a business trip to NY?↘
(だから)NYに出張に行くの(かって聞いてるの!)
いらだちを伝えたいとき
Are you satisfied with the result?↘
結果に満足してないの?(イライラ)
Don’t you understand?↘
わからないのか!
コメントしたい、相手の答えがわかると思うとき
Isn’t this wonderful?↘(= This is wonderful.の意味)
素晴らしいよね。
すごいと言う気持ちを言いたいとき
Isn’t this extraordinary?↘
これってすごい!
※ アメリカ英語では、上昇調でも同じ意味を示すことがあります。
命令したいとき
Will you be quiet! ↘
静かにしてくれ!
※同じ文章でも上昇調になると、お願いしている感じになります。
付加疑問文
含みなく、ただ単に聞きたいときは上昇調
He is working for A Corp., isn’t he?↗
彼はA社で働いてるんだよね?
確認を求めたいときは下降調
上と同じ文章でも、確認を求めたいときは下降調になります。
He is working for A Corp., isn’t he?↘
彼はA社で働いてるんだったよね?
提案したい、間接的に依頼したい
普通に提案したい、間接的に依頼したい、容認・許可を求めたいときは上昇調
You could shorten your speech, couldn’t you?↗
そのスピーチって短くできる?(提案)
You thought it was OK, didn’t you?↗
それがいいと思ったんだよね?(容認)
(上司が部下に)提案したい、依頼したいときは下降調
You could shorten your speech, couldn’t you?↘
そのスピーチは短くできるだろ。(提案)
日常会話での付加疑問文
日常会話では、付加疑問文がコンマの前の文と同じ属性、つまり肯定文に肯定の付加疑問、否定文に否定の付加疑問文がよくあります。例えば、
You are leaving the company, are you?↗
え?会社辞めるの?
これは疑問と言うより、以下のような気持ちをコメントしたいときに用います。
驚き、関心、怒り、心配、皮肉などです。
上昇調で話されることが多いのですが、まれに不信感を伝えたり皮肉を言いたいときには下降調になることもあります。
このような不可疑問文では、oh/ so/ wellのようなつなぎ語が文頭に置かれていることが多いです。
So, he is late for work again, is he?↗
あいつ、また遅刻したのか?(怒り)
You didn’t call the client, didn’t you?↗
お客さんに電話してないの?(怒り)
The job is secure, is it?↗
この仕事って、大丈夫なんだよね?(心配)
Oh, you’ve found a new job, have you?↗
新しい仕事が見つかったんだね?(関心)
So, you will walk to the client’s office, will you?↗
え?歩いてお客さんのところに行くの?(皮肉のこもった反論)
Oh, you say you are a top sales-person, are you?↗
君はトップセールスパーソンなんだってね?(皮肉)
5W1H疑問文
下降調
含みなく、普通に聞きたいとき
5W1Hで始まる疑問文は、下降調で話されるのが普通です。答えを知らないので、普通に聞きたいときは下降調になります。
Who are we meeting with?↘
誰に会うんだっけ?
Where did you go for holidays?↘
どこに休暇に行ったの?
提案したいとき
また、提案したいときも下降調になります。
Why don’t we restart this tomorrow?↘
また明日やり始めよう。
How about call it a day?↘
今日のところは終わりにしよう。
上昇調
5W1H疑問文は、以下のように上昇調で話されることもあります。
確認したいとき
相手の言っていることが聞き取れなかったり、信じられない場合に、もう一度確認のために聞きたい場合も上昇調になります。
What did you say his name was?↗
彼の名前、なんて言ってたっけ?
When did you meet the client?↗
いつお客さんに会ったって言ってたっけ?(前に聞いたけど確認したい)
最初と同じ、どこに休暇に行ったか聞くときも、上昇調で聞くと違う意味になります。
Where did you go for holidays?↗
休暇にどこに行ったって言ってたっけ?(前に聞いたけど忘れた)
同じ疑問でも初めて聞く場合は、下降調になります。
Where did you go for holidays?↘
どこに休暇に行ったの?
新しい話題を始めるとき
また今の話題と違う、新しい話題を始めたいときも上昇調になります。
Where did you go for holidays?↗
それで、休暇にどこに行ったの?(新しい話題の導入)
その他
その他、5W1H疑問文を上昇調で言うときは、「ていねいさ」「興味・関心」「困惑」「控えめなお願い」「皮肉」「不平」「非難」「励まし」なども表しています。
また、以下のような決まり文句もあります。
Who is it?↗
誰ですか?(玄関のドアに対する対応)
選択疑問
選択疑問文は、最後の選択肢は下降調で、その前の選択肢はすべて上昇調です。
Would you like me to meet you in person↗, call you↗ or email you?↘
直接お会いした方がいいでしょうか。それともお電話かメールがいいでしょうか。
まとめ
- イントネーションとは言葉を話すときの声の高低、または上がり下がりのことです。
- 含みなく、ただ単に相手に聞きたいときは、Yes/Noで答えられる疑問文は上げ調子になり、5W1Hで聞かれる疑問文は下げ調子になります。
- Yes/No疑問文で下降調になるときは、より強硬に、厳しく答えを求めたい、いらだちを伝えたい、コメントしたい、すごいと言いたい、命令したいときです。
- 5W1H疑問文で上昇調になるときは、新しい話題を導入したい、もう一度確認したいときの他、丁寧、興味・関心、困惑、控えめにお願い、皮肉、不平、避難、励ましなどを表したいときに使われます。
- 付加疑問文は、基本的に上昇調で、ただ単に相手に聞きたいとき、提案、依頼、容認を求めたいとき、驚き、関心、怒り、心配、皮肉を表したいときに使います。
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参考になるYoutubeビデオ(日本語で字幕が出ます)
How to use QUESTION INTONATION in ENGLISH
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参考文献
渡辺和幸「英語のリズム・イントネーションの指導」大修館書店、1994年