英語を勉強したいけど、大人になってからじゃ身につけるには遅いかな?
そんなことはありません!少なくとも、仕事をするのに差し支えない程度に上達することは可能です。
そこでこの記事では、
- 大人の方が英語の勉強に向いている理由
- 子どもの時から勉強しないとなかなか身に付かないもの
についてシェアしたいと思います。
まとめ
英語を身に付けるのは、大人になってからでも可能です。なぜなら、大人の方がむしろ英語の勉強に向いている点が多くあるからです。大人の方が子供より、
- 日本語の能力が英語に移転する
- 意識的な学習を理解する能力に優れている
- モチベーションの維持ができる
- 学校で勉強する以外の方法を自由に選べる
- 自分の必要な英語の能力や分野にターゲットを絞れる
- 勉強の方法を知っている
- 集中できる
からです。
残念ながら子供のころからでないとなかなか身に付かないものとしては、
- ネイティブ並みの発音
- 完璧な文法
が挙げられますが、大人になってから勉強を始めたとしても、コミュニケーションを取るのに問題ない程度に英語を上達させるのは十分可能です。
大人の方が英語の勉強に向いている理由
日本語の能力が英語に移転する
言語習得の研究によると、第一言語(この場合日本語)の能力のうち、読む能力と書く能力は第二言語(この場合英語)に移転するとしています。つまり、日本語でつちかった読み書きの能力が英語を習得する際に役に立つのです。
日本語と英語はかなり違う言語ですが、読むという作業は言語が違っても根本的に同じシステムで行われているので、日本語の読む能力が英語の読む能力に移転するのです。
同じことが、書く能力にも言えます。
大人になり日本語を習得していれば読み書きの普遍的能力が身に付いているので、子供が英語の読み書きを勉強する一部は終えていることになります。
意識的な学習を理解する能力に優れている
大人の方が、言葉を意識的に分析したり、抽象化・一般化する能力が発達しています。つまり英語を勉強するにあたって、内容をマクロなレベルで整理、要約し、理解する力がついています。
言語を習得する方法には、
(1)メッセージを理解することによる無意識的な「習得」と、
(2)学校の授業などでする意識的な「学習」
と言う2つに大きく分かれます。
このうち、(2)の意識的な学習をするのは、大人の方が優れています。
モチベーションの維持ができる
子供の時の勉強は、先生や親からほめられたり、いい成績を取ったらご褒美がもらえるなどの外部からの動機付けが大きな部分を占めています。
しかし、大人になってからの勉強は、自分の興味、目標、動機に基づいて英語を勉強することを選択し決めるので、勉強する動機は自分の中にあります。 褒められるからと言った外部からの動機より、自分で設定した目標を達成するためにする勉強の方が高いモチベーションを維持できます。
動機付けが高いと学習時間が長くなるので、その分だけ英語の能力が伸びます。
そして、英語能力の向上に伴って勉強するモチベーションもアップするので、さらに勉強することで英語能力も伸びる、という好循環が期待できます。
学校で勉強する以外の方法を自由に選べる
学生の頃は、英語を勉強する機会は、だいたい学校か塾・予備校のみに限られ、それ以外の方法はあまりできなかったのではないでしょうか。
しかし大人であれば、多読をしたり、オンライン英会話をしたり、ドラマや映画から英語を勉強するなど、机の前での勉強以外の方法を自由に選ぶことができます。海外に旅行に行ったりして、現地の人と話したりすることもできます。
自分に向いていて楽しいと思える勉強方法を選べることは、勉強の成果に直結します。
自分に必要な英語の能力や分野にターゲットを絞ることができる
学生時代に学ぶ英語は特に明確な方向性がなく、読む書く聞く話すと言う英語能力を全方向的にアップさせるために勉強していたと思います。
一方、大人になってからの英語の勉強は、今の状況で自分が必要だと思う仕事や日常生活に関した英語の勉強が可能です。また、英語能力の中でも、話す能力や、書く能力と言った、ターゲットを絞った能力の勉強ができます。
ターゲットを絞った勉強の方が、より効率的に早く学習が進む可能性があります。
勉強の方法を知っている
大人になって始める勉強には、これまでの受験勉強などを通して学んだ記憶を定着させるための繰り返しの方法や、目標に向かって勉強の計画を立てる方法を生かすことができます。
また、自分が一番生産的に勉強できる時間や、決められた分量の勉強を終わらせるのにどれくらいの時間がかかるかがわかっています。
これらの知識を用いることによって、効率的に英語の勉強ができます。
より勉強に集中できる
子どもよりも大人の方が、勉強に集中することができます。
子どものときはすぐに飽きるため、長時間、長期間の勉強は難しかったかもしれません。しかし、大人であれば机の前の勉強も集中してでき、英語を学ぶのにはそれなりの時間がかかるとしても、学び続けることができます。
集中して勉強ができることは、最終的な成果につながります。
子どものころからでないとなかなか身に付かないもの
ネイティブ並みの発音
研究にもよりますが、
ネイティブと遜色ない発音を身につけるには、遅くとも10歳前後までに英語の勉強を始めないと難しい
とされています。
それ以後に勉強を始めた場合は、多少なりとも「日本語なまり」が残ることになります。
しかし、英語ネイティブが聞いてなまりがないと言うレベルではなく、コミュニケーションを取るのに問題ないというレベルの発音であれば、大人になって習得することも十分可能です。
完璧な文法
67万人の対象者(英語ネイティブ+非ネイティブ)を調べた調査研究によると、
18歳以前に英語を学び始めた場合は、その後で始める場合よりも、ネイティブのような英語の文法を習得する可能性がはるかに高い
ことがわかりました。
しかし、この研究結果の解釈には、以下の注意点があります。
この研究結果が示しているのは、飽くまで「平均」として、18歳以前に学習した方がネイティブ並みの文法能力が得られる可能性が高いと言うことです。20歳以後に英語の勉強を始めた人のトップ25%を見ると、10歳以前に勉強を始めた人と同じ程度の高い文法能力が得られています。
このことから、年齢による文法学習程度の違いは、単に大人になってからは子供のときほど英語に露出する時間や機会がないだけなのかもしれず、子供の時にあったかもしれない文法を習得する能力が無くなったと言うわけではないかもしれないのです。
—–
参考文献・サイト
東照二「バイリンガリズム」講談社現代新書、2000年
Joshua K.Hartshorne, et. al., “A critical period for second language acquisition: Evidence from 2/3 million English speakers“, Cognition, Volume 177, August 2018, Pages 263-277.
Scott Chacon, “MIT Scientists prove adults learn language to fluency nearly as well as children“