外資系企業は夏に1か月くらいバカンスを取って休んでいると聞いたけど、ほんとかな?とお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
外資系企業と言っても大きく分けて主に米系、欧州系、その他(アジアなど)があり、実はそれぞれ休み方が違います。
どのタイプの会社にも勤めたことがあるのですが、この記事では、米系と欧州系の企業に分けて、外資系企業の休暇の取り方についてシェアしたいと思います。
外資系企業の休暇に対する考え方
外資系企業の休暇に対する考え方は、米系・欧州系ともに、求められている仕事をきちんとしているのであれば、自由に取得して構わないというスタンスです。休暇を取るのは従業員の権利でもあり、理由を聞かれることもありません。
単に休みたいからと言う個人的理由でも問題ないので、その意味では休みは取りやすいと思います。
しかし逆に、プロジェクトが押していてウィークデーに仕事が終わらなければ、週末や祝日に働くことも十分あり得ます。
任されている仕事は終わらせることは当然とされているので、不幸なことに(?)忙しい長期プロジェクトにかかわると、なかなか休みが取れなくなることもあります。
外資系企業は本当に休みが多いのか
通常の休日
外資系企業の通常の休日は、オフィス勤務であれば週5日勤務で土日と日本の祝日は休みなので、日本企業と同じになります。
日本は欧米に比べて祝日が非常に多いので、有給休暇を加味しなければ海外オフィスでなく日本で働く方が多く休めます。
2021年の国民の祝日
日本 | 17日 |
フランス | 12日 |
アメリカ | 9日 |
イギリス | 8日 |
お盆休み/年末年始の休み
外資系企業では基本的に従業員が一斉に休むお盆休みや年末年始の休みはありません。7月・8月の夏の間やクリスマス前後は休暇を取っている人が多いのですが、それぞれ有給休暇を取って休んでいます。
正月の三が日に関しては、日本人の正月に対する考え方を尊重してか休みにしてある会社が多いと思いますが、これは会社によると思います。
これに対し、日本企業ではお盆休み3日ほどと年末年始休暇5日ほどが休みになるので、祝日と合わせると年に25日は休めます。
お盆・年末年始の休みを加味すると、外資系企業より日本企業の方が休みは多くなります。
有給休暇の日数
そもそも、外資系企業の有給休暇の日数はどのようになっているのでしょうか。
有給休暇は福利厚生の一部なので会社やポジションによるのですが、一般的には転職する場合、初年に年15日~20日ぐらいが付与されます。その後、勤続年数が1年増えるごとに1日増えます。
今まで勤務した会社では有給休暇の上限は40日で、その年に取り切れなかった分は次の年に持ち越せますが、その次の年には持ち越せませんでした。
日本の大企業の有給休暇付与日数は20日~30日前後が一般的なようなので、転職をあまりしないで同じ会社に勤務し続けると、外資系企業では日本企業より多く有給休暇が取れる権利が発生します。
有給休暇取得率
米系
仕事さえこなしていれば休みは自由にとれるのですが、米系企業は仕事が非常に忙しいことが多いため、有休休暇取得率はそれほど高くない感じです。
プロジェクトを掛け持ちしていたり、プロジェクトとプロジェクトの間に時間がないことも多く、仕事の切れ目がないので休みが取れないということが起こりがちです。
ポジションが上になるほど責任が増え忙しくなるので、休みが取れたとしても、少なくともメールはチェックして返信し、必要であれば電話会議などもします。
ですので、1週間ぐらいの休みは普通ですが2週間はそこまで多くなく、それ以上はあまりないと思います。
有給休暇が年に20日だとすると、1週間(有給休暇5日+土日)の休暇を年4回取らないとすべての休暇を消化できないので、全部消化している人は少数だと思います。
欧州系
(欧州系と言ってもイギリスと大陸系はまた違うので、ここでは欧州大陸系(フランス、ドイツなど)の話をします。)
欧州系は米系よりワークライフバランスに重きを置いており、夏の間やクリスマス前後は2週間ほど休んでいる人も珍しくありません。本社ではバカンスで1か月ほど休んでいる人もいましたが、多くの人は長くて3週間ぐらいかなと言う感じです。
日本でも仕事の調整が付けば、3週間ぐらいは休めます。
有給休暇が年に20日だとすると、すべての休暇を消化するには、年に3週間の休み+1週間の休みを取る、2週間の休みを2回取る、または1週間の休みを4回取ることになります。
このくらいでしたらがんばって何とかすべて有給休暇を消費できそうですが、年に有給休暇が30日ぐらいになると仕事の調整を付けるのが厳しくなるので、有給休暇を100%消化するのはなかなか難しいかなと思います。
長期の有給休暇を取得することが義務
外資系企業でも特に金融系は、米系・欧州系に関わらず、一定の期間の連続休暇(1週間以上など)を取ることが義務になっているところがあります。
従業員に休暇の取得を促す目的もあると思いますが、一番の目的は、連続休暇中に仕事を他の人に引き継いでしてもらうことで、不正を防ぐことだと思います。
金融会社では、一人で数百億円規模の顧客の口座を扱っていることも珍しくはありません。過去にあった巨額な不正事件などでは、休みを取らず働き続けることで不正が見つからないようにした例もありました。
このようなこともあり、連続休暇の取得が義務になっているのです。
連続休暇の取得が義務になっている場合、休みを取っていないと、人事部から今年は休みを取らないのかと言う催促がきます。上記の理由から、よほどの事情と上司の承認がないと、休めませんとは言えません。
短い休みは簡単に取れるのか
1~2日の休暇については仕事の調整が付きやすいこともあり、特に問題なく取得できます。
理由を聞かれることはないので、バーゲンに行ったりコンサートに行ったりするために休んでいる人もいまし、疲れていたから家で休んでいたという人もいました。
しかし、前述の通り米系は忙しいことが多いので、仕事の調整がつかなくて休みが取れないということもありました。
病気休暇
外資系企業では、有給休暇のほかに通常、病気休暇(Sick leave)があります。通常の有給休暇とは別に与えられるもので無給ではなく、病気のための有給休暇になります。
例えば風邪をひいた時や足をくじいて今日は会社に行けないという日は、通常の有給休暇ではなく病気休暇を使って休むことができます。
また、インフルエンザにかかった時などは、1週間は会社に行くことができなくなるところもあります。会社によっては、家族がインフルエンザにかかった時に、たとえ自分がかかっていなかったとしても、休むことが決められているところもあります。
この休みも、有給休暇を使う必要はありません。
インフルエンザにかかった時や休みが3日以上になった場合は、診断書を提出しないといけないことになっているところが多いと思います。
病気なのでもちろん事前に休暇願を出す必要はなく、当日上司に連絡してから、出社後に手続きすることになります。