本を読むのは好きじゃない。英語を聞いてわかるようになれば、自然と英語で読めるようになるかな?
そのような疑問をお持ちの方に、この記事では、
- リスニングとリーディングの共通点
- リスニングとリーディングの違い
- 英語が聞けると読めるようになるのか
についてシェアしたいと思います。
リスニングとリーディングの共通点
リスニングとリーディングの共通点
リスニングとリーディングは、言葉によるコミュニケーションの中で、「情報を理解する」と言う共通点があります。
リスニング力とリーディング力の相関関係
英語ネイティブを対象にした研究によると、リスニング力とリーディング力には相関があり、リスニング力の4割がリーディング力で、リーディング力の4割弱がリスニング力で説明できるとしています。
これは、入ってきた情報を理解すると言うプロセスには共通のものがあり、聞く/読むという情報をどのように得たかによって影響を受けないことを示しています。特に語彙の理解は、理解すると言うプロセスで大きな役割を果たしています。
情報を理解するプロセス
入ってきた情報を理解するには、
- 聞いたことを一時的に覚えて(短期記憶=ワーキングメモリ)
- 覚えた話しの内容から相手の意図をくみ取り(整理)
- 汲み取ったらその情報を忘れる(削除)
という手順で全体を理解しています。これは、リスニングとリーディングで共通のプロセスです。
短期記憶(ワーキングメモリ)は、通常10秒~30秒ほどと言われ、訓練することによって多少伸ばすことができます。
リスニングとリーディングの違い
リスニングとリーディングには以下の違いがあります。
音を聞く⇔文字を読む
リスニング
リスニングは話されている音を聞くことで理解するので、発音されている音を聞き取れないと理解できません。個々の音の他、リズム・イントネーション、音の変化などを聞き分ける必要があります。
英語は単語を単独で発音する場合と、話しているときに単語を次々と発音する場合で大きな違いがあるので、聞きながら単語と単語の区切りを判別しなければなりません。
リーディング
リーディングは文字を読むことで理解するので、基本的にアルファベットが読めないと理解できません。ただし、正しく読めなくても、判別できる単語を機械的に日本語に置き換え、構文の知識で並び変えれば、おおよその意味を把握することができます。
また、単語と単語の間はスペースで区切られているため、単語の区切りを認識するのにほとんど問題はありません。
1回限り⇔繰り返し可
リスニング
リスニングは大抵の場合、1回限りで逆戻りができないと言う特徴があります。普通のコミュニケーションでは、もう一度言ってもらう以外に2度聞くことはできません。
リーディング
これに対し、リーディングは読み返すことができるので、情報を理解する機会が1回に限定されていません。
話し手のペース⇔読み手のペース
リスニング
リスニングの理解は話し手が話すスピードに依存していて、自分でコントロールすることができません。
リーディング
これに対しリーディングでは、ほとんどの状況で、時間のプレッシャーなしに自分のペースで読むことができます。読んでいてわからない場合は、文やフレーズを読み直して、考えるために読むのを休むこともできます。
全体⇔細部
リスニング
リスニングは話し手が話すスピード進んでいくため、話されていることの意味を全体としてとらえることが主な目的になります。そのため、単語を独立して聞いたり、構文を分析したりする時間はありません。
リーディング
これに対しリーディングは自分のペースで進められるため、全体の意味の把握に加え、1つ1つの単語や構文などの細かい情報にも注意を向けることができます。
短期記憶の必要容量:大⇔小
リスニング
リスニングでは、普通は2度聞くことはできないので、聞いたことを一時的に覚えておくメモリの容量がないと話しの内容をくみ取る前に話しが進んでいってしまい、全体の意味がわからなくなります。メモリの容量はリスニング力に大きな影響があります。
リーディング
リーディングでは、1回で理解できなかった場合は読み返すことができるので、メモリの容量不足が致命的な欠点になることはリスニングより少なくなります。
インフォーマルな情報⇔フォーマルな情報
リスニング
通常のコミュニケーションでは、話し手の発音には多少なりともバリエーションがあり、完全な文章になっていなかったり文法的に間違っている文などが含まれる場合があります。リスニングでは、この「ノイズ」を除去しながら理解する必要があります。
リーディング
これに対しリーディングでは、文章は通常、文法的に正しく、よりフォーマルな情報になっています。
情報の追加:可⇔不可
リスニング
リスニングの場合、理解できない場合は、特殊な場合を除き、別の言い方で説明してもらうなど、新しい情報をもらうことができます。
リーディング
これに対しリーディングでは、書いてあることの範囲で理解するしかなく、理解を深めるための追加の情報は期待できません。
情報量:大⇔小
リスニング
リスニングの場合、話し手は言葉以外の文章のストレス、イントネーション、話す速度、声の高低などで、同じ言葉でも違う意味を持たせるなど、様々な表現をすることができるため、伝えられる情報量は多くなります。
リーディング
これに対しリーディングでは、書いてある言葉以外の情報はなく、言葉の使い方や文脈以外の情報はありません。
英語が聞けると読めるようになるのか
リスニングとリーディングは、言葉によるコミュニケーションの中で、「情報を理解する」と言う共通点があり、リスニング力とリーディング力には相関関係があります。しかし、以下の違いがあるため、リスニングができればすぐにリーディングができるとは言えません。
発音とスペルの違い
英語は発音とスペルが一対一で結びついておらず、同じ発音でもスペルにいくつかのパターンがあります。このパターンがわからないと、リスニングができてもリーディングができるようになりません。
コミュニケーションのフォーマル度の違い
話す/聞くことによるコミュニケーションと書く/読むことによるコミュニケーションには語彙や表現に違いがあります。この違いを埋める知識がないと、リスニングができてもリーディングができるようになりません。
文章の複雑さの違い
書くことによるコミュニケーションでは、文章がより長く複雑になる傾向があります。この違いを埋める知識がないと、リスニングができてもリーディングができるようになりません。
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