時間がない!何とか寝ている間にも英語の勉強ができないものだろうか?
忙しく働いていると、勉強する時間がなかなか取れないと言うことはよくあることだと思います。だから、寝ている間に勉強できないものか?と思いますよね(私も思いました)。
そこでこの記事では、
- 英語の睡眠学習はできるのか
についてシェアしたいと思います。
人はなぜ眠るの?
人がなぜ眠るのかについては、まだ確定した科学的説明はありません。いくつかの仮説によると、眠ることで、
- 1日に摂取しなければならないエネルギーをセーブしている
- 体を修復している
- 脳神経をつくることで脳を「発達」させている
と言われています。
英語の睡眠学習はできるの?
寝ているときに脳は何をしているのか
勉強したことが記憶されて正しく思い出せるには、次の3つのステップが必要です。
- 獲得:脳に新しい情報を導入する
- 統合:記憶を安定させる
- 想起:情報が保存された後、(意識的または無意識に)情報にアクセスする
このうち、記憶を安定させる「統合」は寝ているときに行われます。
睡眠学習はできるの?
現在までの科学的知見によると、少なくとも、意識的に思い出せるタイプの記憶の獲得(=普通の勉強)は、起きているときにしかできません。
つまり残念ながら、
と言うことです。
英語の睡眠学習はできるの?
普通に考えられる英語の睡眠学習は、寝ているときに英単語を聞いて覚えたり、リスニングをして聞く力を向上させたりすると言う方法ではないでしょうか。
しかし、検証できる科学的実験からは、
- 新しい単語を勉強するのは、起きているときにしかできない
- 寝ているときに英語のリスニングをしても、発音がよくなったりリスニングができるようにならない
と言うことがわかっています。
寝ている間にできるといいのですが、残念です。。。
ただ、
睡眠は勉強にとって非常に重要な、勉強したことを記憶に安定させると言う働き(記憶の統合)をして
います。
さらに、記憶の定着以外に睡眠は英語を学ぶ上で非常に重要な役割をしています。次の章で詳しくご説明します。
寝ているときも脳は英語の勉強をしている!
寝ている間に記憶をつくる神経同士が次々つながることで、脳は睡眠中に記憶の統合、つまり新しい情報を記憶として安定させていると考えられています。
睡眠によってどのように記憶が作られるのかについてのコンセンサスはまだないようなのですが、ノンレム睡眠とレム睡眠の両方が、記憶の形成に関与していると考えられています。
睡眠の英語学習への効果
寝ている間に単語を覚えたりと言う一般的に考えられる英語の睡眠学習とは違いますが、睡眠は英語を学ぶことにとってとても重要な役割をしています。
つまり、言葉を学ぶと言うことに関して言うと、睡眠中に、
- 言葉の形式(文法)と意味の関連性を一般化し、言葉として捉えること
- 言葉の音(発音)のパターン認識を促すこと
が行われているのです。
文法
言葉には規則性があります。睡眠は、言語習得の最も重要な要素の1つである、言葉の形式(文法)と意味の関連性を、パターンとして一般化することを促しています。
成人を対象に行われた、人工的な文法からできている特定の文字列を分類すると言う実験では、睡眠をとった後の方が、同じ時間起きているだけよりも、規則のパターン化率が向上していました。
発音
また睡眠は、言葉の音(発音)のパターン認識を促すこともしています。
特定の音の要素でできている音節を繰り返し練習した後に、どれだけ習得できているかを調べた実験があります。この実験では、練習した後に眠った参加者は、普通に話しているときに、練習したときに学んだ音の配列パターンと一致する間違いをしましたが、練習した後に起きたままの参加者はそうではありませんでした。
寝ている間に、音のパターンを習得したからだと思われます。
寝ている間のパターン習得
この、寝ている間にパターンを習得すると言うのは、仕事で新しいアイディアを出そうと頑張っているのにいいアイディアは出ず、寝て起きたら思いついた、と言うのに似ているのではと思います。
寝ている間に、何かがつながって浮かび上がってきたときの感じです。
まとめ
以上のことをまとめると、
- 新しく獲得した知識を記憶に定着させるには、眠ることが重要
- 聞いたり読んだりと言うインプットをルール化し言葉に変えるには、眠ることが重要
- 発音のパターン認識を促すには、眠ることが重要
です。
一般的に考えられる睡眠学習はできないのですが、
と言えると思います。
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参考サイト、文献
Why Do We Sleep, Anyway?, Sleep, Leaning and Memory (by Harvard Medical School)
Sleep facilitates learning a new linguistic rule
Vocabulary learning benefits from REM after slow-wave sleep