この記事では、
- TOEICパート5の設問パターン別出題割合
- パート5文法問題対策
- パート5語彙問題対策
- タイムマネジメント
についてシェアしたいと思います。
TOEIC パート5の概略
TOEICリーディングセクション
TOEICリーディングセクション全体の問題数と時間は、以下になります。
- 問題数:100問
- 時間:75分
TOEICパート5の概要
問題と形式
TOEICパート5は、
- 問題:30問(リーディングセクションの33%)
- 形式:文章に空欄が一ヶ所あり、4つの選択肢の中からそこに入れられる適当なものを選ぶ、短文穴埋め形式
です。
時間配分
TOEICパート5の目標時間配分は、以下です。長文のパート6と7になるべく時間を配分するため、パート5はなるべく短い時間で終わらせる必要があります。
- パート5全体:10分
- 平均解答時間:20秒/1問
TOEICパート5の設問パターン
TOEICパート5の設問パターン
TOEICパート5の設問のパターンは大きく2つあります。
- 文法問題
- 語彙問題
文法問題
文法問題とは、動詞の活用や正しい品詞などの、英語の文法の知識が問われる問題です。
文法問題は問われる文法知識の内容から、以下のように分類できます。
- 品詞問題
- 前置詞・接続詞問題
- 動詞問題
- 代名詞/関係詞問題
- その他
品詞問題
品詞問題とは、同じ語源の違う品詞からなる4つの選択肢の中から、適当なものを選ぶ問題です。
例えば、以下のような問題です。
Mr. Smith offered to invite us to his company’s party.
A) generous
B) generously
C) most generous
D) generosity
(※正解はB)
前置詞・接続詞問題
前置詞・接続詞問題とは、前置詞、接続詞またはその両方からなる選択肢の中から、適当なものを選ぶ問題です。
例えば、以下のような問題です。
a huge loss, the company plans to make a large investment.
A) Although
B) Because
C) Despite
D) Since
(※正解はC)
動詞問題
動詞問題とは、動詞からなる選択肢の中から、(1)正しい時制のものを選ぶ、または(2)不定詞・動名詞・過去分詞などの中から正しいものを選ぶ問題です。
例えば、以下のような問題です。
Mr. Smith frequently clients to promote new products.
A) visited
B) visits
C) is visiting
D) has visited
(※正解はB)
代名詞/関係詞問題
代名詞/関係詞問題とは、代名詞まはた関係詞からなる選択肢の中から、適当なものを選ぶ問題です。
例えば、以下のような問題です。
Mr. Smith completed the task by .
A) him
B) he
C) himself
D) his
(※正解はC)
その他
その他の問題は、比較級や数詞を問う問題です。
語彙問題
語彙問題とは、同じ品詞からなる4つの選択肢の中から、文章が適切な意味になる語句を選ぶ問題です。
例えば以下のように、選択肢がすべて副詞のものの中から空欄に合う適当なものを選ぶような問題です。
We had a meeting at the renovated conference room.
A) newly
B) immediately
C) directly
D) exactly
(※正解はA)
TOEICパート5の設問パターン別出題割合
「公式TOEIC Listening & Reading問題集7」に収録されているテスト2回分(=パート5計60問)を分析した結果、パート5の設問パターン別の出題割合は以下です。
文法問題が6割強、語彙問題が4割弱になります。
TOEICパート5:文法問題対策
TOEICパート5で出題される文法の範囲
下記は、英文法をもれなく網羅した「徹底例解ロイヤル英文法」(旺文社)の目次を書き出したものです。設問パターンと照らし合わせると、直接・間接に知識を問われると言う違いはありますが、パート5では疑問詞以外のすべての文法項目の知識が出題されます。
TOEICパート5では、大学受験で出てくるような難解な(日常ではあまり使わない)ものは出ませんが、英文法については基本をまんべんなく押さえておく必要があります。
品詞に関する項目
名詞 / 冠詞 / 代名詞 / 疑問詞 / 形容詞 / 副詞 / 動詞 / 助動詞 / 不定詞 / 分詞 / 動名詞 / 接続詞 / 関係詞 / 前置詞
品詞以外の文に関する項目
- 文 (文の構成、文型、品詞、句と節、文の種類)
- 比較
- 時制
- 法(命令法、仮定法)
- 態(能動態、受動態)
- 一致(主語と動詞の一致)
- 時制の一致と話法
- 否定
- 倒置・省略・強調・挿入
- 文の転換
TOEICパート5の文法問題対策
TOEICパート5の文法問題対策は、
- 選択肢の品詞を一瞬で判断できるようにするため、接尾辞を知る
- 文章の構造を把握し、正しい単語の位置を知る
です。
以下で詳しくご説明します。
品詞の見分け
設問で何を問われているのかを瞬時に把握し、設問パターンから解答するために注目するところを判断するため、選択肢を見てすぐに品詞を見分けられるようにする必要があります。
品詞を見分けるには、接尾辞に注目します。
接尾辞とは、
単語の意味の中心である語根の後ろに足されることにより、単語の意味を変えたり品詞の種類を変える働きをするもの
です。
接尾辞の例
例えば、Demonstrate(証明する)という単語は、
- de(完全に)
- monstr(指摘する、示す、見せる)
- ate(動詞になる接尾辞)
という3つのパーツに分けることができます。それらの意味が合わさって、
- 「完全に+示す+(動詞化)」→「証明する」
と言う意味になります。
この最後の付いている”ate”が接尾辞で、語根を動詞に変化させるものです。接尾辞がわかれば、どの品詞なのかが見分けられるようになります。
「社会人の語彙増強 語源学習とは」(リンクはこちら)
TOEIC頻出単語の接尾辞
以下は、TOEICで出題される単語に付いている主な接尾辞です。接尾辞を暗記する必要はありませんが、単語をすぐ見分けられる程度に知る必要があります。
形容詞にする接尾辞
-able, -ible, -ble
-ative, -ive, -itive
-fic
-ful
-ic, -ical
-ous
-ular
形容詞・名詞にする接尾辞
-al, -ial
-ant
-ory
動詞にする接尾辞
-ate
-ify, -fy
-ize
副詞にする接尾辞
-ly(※形容詞にもなる)
名詞にする接尾辞
-ance, -ancy, -ence, -ency
-ation, -ition, ion
-ce, -se
-cle, -cule, -ule
-cy, -y
-ity, -ty
-ment
-ness
文章の構造
設問パターンのうち、
- 品詞問題
- 前置詞・接続詞問題
- 代名詞・関係詞問題
は、文章の構造から正解を導き出す必要がある問題です。これらの問題は、文章全体の意味がわかったとしてもその構造がわからないと、正解を導き出すことができません。
文章の構造とは、英語の語順のパターンのことです。英語は語順がおおよそ固定していて、語順はある決まったパターンに限られます。それがわかれば、構造から空欄に入る単語が何か判断できます。
以下で、前置詞・接続詞を例に文章の構造をご説明します。
前置詞・接続詞
前置詞および接続詞は文法的なつながりを示す働きをする品詞(機能語)で、それ単体では意味をなさないものです。前置詞・接続詞問題は空欄になっている文章の意味がおおよそ理解できたとしても、文章の構造がわからないと正解にはたどり着けません。
文章の構造として、
- 前置詞はすぐ後ろに名詞のかたまり
- 接続詞は後ろに主語+動詞
があるので、そこから正解を探すのです。
以下の例文は2つとも大体同じ意味になりますが、文章の構造から入れられる品詞は1つしかありません。どのように正解を探すのかについてご説明します。
例1
previous year’s loss, the company plans to make a huge investment.
A) Because(接続詞)
B) Despite(前置詞)
C) Although(接続詞)
D) By(前置詞)
「前年の損失」「大きな投資をする予定だ」という文章として意味の通るのは、逆説(~だけれども)です(前年に損失があったけれども、大きな投資をする予定だ)。逆説を表すのはBとCですが、そのうち、空欄のすぐ後ろが名詞のかたまり(precious year’s loss)なことから、Bの前置詞のDespiteが正解です。
例2
the company recorded a loss in the previous year, it plans to make a huge investment.
A) Because(接続詞)
B) Despite(前置詞)
C) Although(接続詞)
D) By(前置詞)
「前年の損失」「大きな投資をする予定だ」という文章として意味の通るのは、逆説(~だけれども)です(前年に損失があったけれども、大きな投資をする予定だ)。逆説を表すのはBとCですが、そのうち、空欄のすぐ後ろに主語+動詞(the company recorded…)があることから、Cの接続詞のAlthoughが正解です。
「社会人の英文法の勉強法」(リンクはこちら)
TOEICパート5:語彙問題対策
TOEICパート5の語彙問題対策
コロケーションとはある単語と単語のよく使われる組み合わせのことです。
語彙問題は最大半分ほどをコロケーションで解答することができます。ですので、英単語を覚える時は単語とその日本語の訳を覚えるだけでなく、例文全体を覚える必要があります。TOEICリーディングセクションはとにかく時間との戦いなので、解答時間を短縮するために絶対に必要な対策です。
コロケーションの例
例えば、「調査する」と言いたいときにsurvey(調査)と一緒によく使われる単語はconductで、”survey”と”conduct”はコロケーションの関係です。これをTOEICでは、以下のように出題されます。
設問)The company plans to a survey to find out what the customers think of their new product.
A) make
B) conduct
C) check
D) investigate
コロケーションから、空欄とその直後の”a survey”を見ただけで、解答はBの”conduct”だと言うことがすぐにわかります。そして、その後の文章は読む必要がありません。
コロケーションで解答できる問題は、たとえ文章全体の意味がわからなくても、コロケーションさえわかれば解答することができます。
TOEIC試験対策に必要な単語数
英語ネイティブの大人の語彙数は3万ほどと言われていますが、ビジネスでよく使用される語彙は比較的限られています。
特にビジネスで使う英語をテストするTOEICでは、
- 基礎的な英単語2800語
- TOEIC頻出1200語
の合計4000語を学べば、テストに出る99%の単語がカバーできます。
TOEIC頻出単語リスト
言語学者ブラウン、カリガン、フィリップスが、TOEIC対策問題集などの試験対策資料に出ている語彙150万語を調べ、TOEICに出題される最頻出1200語をリスト化しました。これは「TOEIC Service List(TSL)」と呼ばれています。
このリストと基礎単語の2800語と組み合わせると、TOEICテストの最大99%カバーするので、これを学べば語彙対策は万全です。
TOEIC頻出単語リスト(TSL)のダウンロード
リストはこちらのリンクからフリーでダウウンロードできます(エクセルファイル)。
TOEIC頻出単語を学べるサイト
Memrise社が提供しているサイトでは(リンクはこちら)、フラッシュカード形式でこのリストの単語を学ぶことができます。Googleアカウントなどを使った登録が必要です(無料)。
基礎単語のリスト
基礎単語のリスト(New General Service List(「NGSL」))は、前述のブラウン他が英単語2億7300万語を調べ、そのうち最も使用されている英単語約2800語をリスト化したものです。これで英語で書かれているテキストの92%をカバーしています。
中学高校で学ぶ英単語の数は3000程度なので、それよりも少なくなります。
英語の基礎単語リスト(NGSL)のダウンロード
基礎単語のリストはこのリンクからフリーでダウンロードすることができます(エクセルファイル)。
英語の基礎単語を学ぶアプリ
NGSLリストの単語を学べるフリーの専用アプリ「NGSL Builder 日本語版」(Android/iOS)があります。フラッシュカード形式になっていて発音も学べ、学習状況を把握できる機能も付いています。
「ビジネスで英語を使うために学ぶべき単語数」(リンクはこちら)
タイムマネジメント
TOEICは問題数が多く、英語力が相当あってもタイムマネジメントを上手にしないと高得点を取るのが難しいテストです。
TOEICパート5目標時間配分
TOEICリーディングセクション全体の時間は75分ですが、TOEICパート5の目標時間配分は、
- パート5全体:10分
- 平均解答時間:20秒/1問
です。
パート6は長文穴埋め問題で、パート7には複数の文書を読んで解答する問題も25問あるので、そちらにできるだけ時間を配分しないと、テストの最後まで解答することができません。ですので、パート5は1問20秒程度で終わらせる必要があります。
タイムマネジメントで注意すること
タイムマネジメントについては特に、次のことに注意します。
- パートごとの時間配分を事前に決めておき、その通りに時計を見ずに解答できるように、事前に練習しておく(パート5は1問20秒)
- 設問の選択肢を見て、何を問われているのかをすぐに把握できるようにする
- 設問全体を読まずに解答できる問題を増やす
- 必ずしも設問の文章全体の意味が分からなくてもいいと割り切る(不安になって全文を読んでチェックしようとしない)
- 解答がわからない場合も、30秒たったら適当にマークして次に進む
- 問題の難易度はランダムに出題されるので、わからない問題が続いてもパニックにならない
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「TOEICパート1完全攻略法」(リンクはこちら)
「TOEICパート2完全攻略法」(リンクはこちら)
「社会人の語彙増強 語源学習とは」(リンクはこちら)
「ビジネスで英語を使うために学ぶべき単語数」(リンクはこちら)
「使える英単語の学習法」(リンクはこちら)
「社会人の英文法の勉強法」(リンクはこちら)
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参考サイト
Browne, C., Culligan, B., and Phillips, J., New General Service List http://www.newgeneralservicelist.org/