接続詞にコンマを付けるのか付けないのか、どちらが正しいか迷った…
ことはないでしょうか。
接続詞にコンマを付けるか付けないかは、
- 文法的にコンマが必要な場合と、付けてはいけない場合
- スタイルの問題で、付けても付けなくてもいい場合
によります。
接続詞とコンマの関係は複雑で、ネイティブでもわからない場合があるほどです。
そこで、この記事では、
- そもそも接続詞にコンマが必要なのか
- 接続詞の前にコンマが必要なのか
- 接続詞の後にコンマが必要なのか
- 接続詞にコンマが必要ないときはいつなのか
についてシェアしたいと思います。
まとめ
コンマは、書いたものの意味を読み手に間違えて理解されることのないように、単語・フレーズなどの区切りを示すために使われます。
文中にある接続詞にコンマが必要な場合は
- リストになっている単語等をand/orでつなげるとき
- 接続詞がand/butなどの等位接続詞で、独立した文章と文章をつなぐとき
文頭にある接続詞にコンマが必要な場合は
- if/because/whenなどの従属接続詞が文頭にあるとき
これ以外の場合は、通常、コンマは必要ありません。
接続詞の種類
接続詞にコンマが必要かは、大きく接続詞の種類によるので、まず接続詞の種類の説明をします。
接続詞には3つの種類があります。
- 等位接続詞
- 従位接続詞
- 相関接続詞
等位接続詞
等位接続詞とは、
のことをいいます。
大文字の部分を略して「FANBOYS」と覚えると、覚えやすくなります。
ので、以下の章でご説明します。
従位接続詞
従位接続詞とは、独立した文に従属する文をつなげる接続詞です。
かなりたくさん数があるので、以下によく使うものをあげます。
種類 | 例 |
時間 | before, after, now, when, until |
理由 | because, as, since, so that |
条件 | if, unless |
意見 | although, as if |
比較 | than, whereas, whether |
関係 | that, which, whoever, whatever |
ので、以下の章でご説明します。
相関接続詞
相関接続詞とは、
のような、2つの単語やフレーズを1つの考えにつなげるものです。
※例外はあります。
コンマと等位接続詞(文中にある場合)
文中にある等位接続詞にコンマが必要な場合
文中にあるand/butなどの等位接続詞にコンマが必要なのは、以下の2つの場合です。
- リストになっている単語等を、「and」または「or」でつなげる場合
- 独立した文章と文章を等位接続詞でつなげる場合
①リストになっている単語等を、「and」または「or」でつなげる場合
リストになっている3つ以上の単語、フレーズ、または完全な文を、「and」または「or」でつなげる場合には、コンマが必要です。
コンマを入れることで、単語やフレーズがどこで区切れているのかを示しています。
単語:Spanish is spoken in Spain, Chile and other South American countries except for Brazil.
単語:You can fly to Mexico City via Los Angeles, San Fransisco or Las Vegas.
フレーズ:We spent hours researching in libraries, drafting presentation, checking legal issues and preparing ourselves to get comfortable with the speech.
文:I speak Japanese, she speaks English and he speaks Spanish.
リストになっている単語をand/orでつなげたとき、and/orの直前にコンマが必要なのか
リストになっている3つ以上の単語をand/orでつなげたとき、and/orの直前にコンマは特に必要ありません。スタイルの問題なので、付いていても付いていなくても正解です。
例えば以下の例文の、「and pen」の直前のコンマのことです。
Please bring the entrance ticket, a notebook, and a pen.
このコンマは、イギリス・オックスフォード大学出版から出版される書籍で使われることから、「オックスフォード・コンマ」(Oxford comma)と呼ばれています。イギリス英語でよく見られますが、アメリカ英語でも非常によく使われます。
②独立した文と文を等位接続詞でつなげる場合
独立した文と文をand/or/butなどの等位接続詞でつなげる場合には、コンマが必要です。
前後の文章は独立しているので、接続詞の前のコンマで文と文の区切りを示しています。
I applied to attend the conference, and he is expected to do the same.
You have to submit the application by tomorrow, or you will not be able to attend the conference.
He decided to quit the job, but I decided to stay.
Billions of yen have been spent for the public expenditure, yet our economy still suffers from low growth.
等位接続詞の前後の文章は独立しているので、文章を接続詞の前でピリオドで切って、2つの文章にすることができます。
等位接続詞にコンマを使うときの注意点
注意点1
独立した文と文を、接続詞なしにコンマだけでつなげることはできません。接続詞を使わない場合は、セミコロンを使います。
誤)I applied to attend the conference, he is expected to do the same.
正)I applied to attend the conference; he is expected to do the same.
「ビジネス文書でのコロン・セミコロンの使い方」(リンクはこちら)
注意点2
However, thereforeなどの接続副詞を使って独立した文と文をつなげる時は、コンマは使えません。必ずセミコロンを使います。
誤)Operating profit has shown a significant improvement, however, we believe that this is only a temporary phenomenon.
正)Operating profit has shown a significant improvement; however,we believe that this is only a temporary phenomenon.
注意点3
独立した文と従属する文をつなぐ場合にコンマを使うのは、間違いです。
誤)I applied to attend the conference, and waited for the reply.
正)I applied to attend the conference and waited for the reply.
注意点4
独立した文と文をandでつなげる場合で、前後の文章が非常に短く、かつ関連性が高い場合は、コンマがない場合もあります。
正)I talked and he listened.
正)I talked, and he listened.
注意点5
リストが2つだけの場合にコンマを付けるのは、間違いです。
誤)Spanish is spoken in Spain, and Chile.
誤)We spent hours researching in libraries, and drafting presentation.
コンマと等位接続詞(文頭にある場合)
文章の初めがand/butなどの等位接続詞で始まる場合は、通常、等位接続詞の直後にコンマは必要ありません。
And it was the beginning of an end.
But he was not satisfied with the result.
※カジュアルな文章や、文章が長い場合は、コンマが付いている場合があります。
「なぜビジネス文書では、文頭にAnd/butを使わない方がいいのか」(リンクはこちら)
例外
ただし、文中にコンマが必要な場合は、等位接続詞の直後にコンマが必要です。
So, I stayed at the company, even though all the team was laid off.
コンマと従位接続詞
コンマと文中にある従位接続詞
文中にあるif/because/until/whether/when/unlessなどの従位接続詞には、通常コンマは必要ありません。
接続詞の後の文章は、その前の文章にくっつくことで初めて意味が分かるものなので、文と文を区切る必要がないのです。
The client was happy because we made a good discount.
We can go home if we finish this assignment.
We cannot sign the contract unless the requirement is met.
コンマと文中にある従位接続詞の例外
対比や譲歩を表す、文中にあるalthough/(even) though/while/whereasなどの従位接続詞には、コンマがあることが普通です。
コンマで文章を区切ることで、文章の前後のコントラストを強調する目的です。
The company still suffers from a loss, although its products are selling well.
ABC Corp. is doing well, whereas WYZ Co. is making a loss.
His proposal was excellent, while mine was not.※
※The company went bankrupt while I was on vacation.の使い方の場合には、対比を表しているわけではないのでコンマは必要ありません。
コンマと文頭にある従位接続詞
文頭にあるif/because/until/whether/when/unlessなどの従位接続詞には、それを含めた節にコンマが必要です。従位接続詞の直後には必要ありません。
文頭に接続詞がある場合は、どこまでがその接続詞と一緒の節かをコンマで示し、主語のある後の文との区切りをわかるようにします。
Because we made a good discount, the client was happy.
If we finish this assignment, we can go home.
Unless the requirement is met, we cannot sign the contract.
※接続詞を文頭にもってくるこの使い方は、前置きが長くなるため、結論から先に述べる必要のある英文ビジネス文書ではお勧めしません。
「日本人がしがち!英文ビジネス文書のNG集」(リンクはこちら)
文中にあるSoにコンマが必要か見分ける方法
「So」は等位接続詞と従位接続詞の、両方として使われます。
等位接続詞として文中で使う場合にはコンマが必要ですが、従位接続詞として文中で使う場合にはコンマは必要ありません。
そのため、文中に「So」がある時にはどちらの接続詞が見分けないと、コンマが必要なのかそうでないのかがわかりません。
そこで、文中にある「So」にコンマが必要なのかどうかを簡単に見分ける方法を、以下にご紹介します。
「So」を「therefore」と置き換える
文中にある「So」を「therefore」と置き換えて意味があまり変わらないようであれば、そのSoは等位接続詞なので、コンマが必要です。
John achieved 45% above his goal of the quarter, so he was commended by the president.
ジョンは自身の四半期目標を45%上回ったので、社長に表彰された。
John achieved 45% above his goal of the quarter; therefore he was commended by the president.
ジョンはは自身の四半期目標を45%上回った。ゆえに、社長に表彰された。
「So」を「so that」と置き換える
文中にある「So」を「so that」と置き換えて意味があまり変わらないようであれば、そのSoは従位接続詞なので、コンマが必要です。
I made a good discount so I could close the deal.
案件をまとめたかったので、かなり割引きした。
I made a good discount so that I could close the deal.
案件をまとめるために、かなり割引きした。
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参考記事
「なぜビジネス文書では、文頭にAnd/butを使わない方がいいのか」(リンクはこちら)
「日本人がしがち!英文ビジネス文書のNG集」(リンクはこちら)
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参考文献・サイト
稲盛洋輔「英語の句読法辞典」インターワーク出版、2003年
University of Sussex
Purdue University
Grammarly and but or so