世の中で紹介されている英語の勉強法はスピーキングならスピーキング力向上、ライティングならライティング力向上など、大抵は英語力のうちの1つを向上させるものです。
しかし、1つの活動で英語のリスニング力、ライティング力、文法力の3つの能力をアップさせる、「ディクトグロス」と言う一石三鳥の方法があります。
そこでこの記事では、
- ディクトグロスとは
- ディクトグロスの方法
- ディクトグロスの効果
- ディクトグロスをするための参考サイト
についてシェアしたいと思います。
ディクトグロスとは
ディクトグロスとは
ディクトグロスとは、オーストラリアの言語学者である、ルース・ワインリブ(Ruth Wajnryb)が提唱した外国語を学習する方法で、
と言うものです。
ディクトグロスとディクテーションの違い
ディクトグロスは聞いて書きとると言うところはディクテーションと似ているのですが、かなり違うところもあります。
ディクテーション | ディクトグロス |
聞いたものをその場でそのまま書きとる | 聞いて理解したものを復元するように書く |
リスニングができれば意味がわからなくてもできる | 聞いて理解できないとできない |
聞いた文章を完全に間違いなく書きとる | 完全な復元は目指していない |
個人でする | グループでもできる |
ディクトグロスの方法
ディクトグロスのやり方:3ステップ
ディクトグロスのやり方は、次の3ステップです。
- 30秒から1分ぐらいの短い文章を聞く
- 聞いて理解したものを元に、文章を復元する
- 復元した文章を元の文章と比べ、分析する
ステップ1:リスニング
30秒から1分ぐらいの短い文章を聞きます。
聞くものは何でもいいのですが、テキストを読んだ時に大体理解できる程度のものにします。英語力をアップさせることが目的なので、
- 専門的な知識がないと理解が難しいもの(法律、金融、医学など)
- 聞き慣れていない発音以外の英語で話されているもの(方言など)
は、英語力以外の能力が必要とされ、ディクトグロスには適しません。
また、英語上級者になるまでは、なるべく正しいとされる英語を学んだ方がいいので、
- あまりに口語調のもの
- 文法的に正しくないもの
はディクトグロスには適しません。
注意点は以下になります。
- 1回で理解できなかった場合は、再度聞きます
- 普通のスピードで理解できない場合は、スピードを遅くします
- キーワードなどをメモしながら聞くこともできます
ステップ2:文章を復元
聞いて理解したこと(+メモ)を元に、文章を復元します。
まったく同じ文章を復元する必要はありませんが、復元するときには次のことに気を付けます。
- トピック固有の語彙・表現は使われているか
- 時制は合っているか
- 句読点は合っているか
- 冠詞や前置詞などは合っているか
- その他文法的な間違いはないか
- 内容は合っているか
スペルについては、大体合っている程度で構わないと思います。現在の仕事環境ではPCやスマホを使わずに英語を書かなければならない状況はほぼ考えられないため、社会人が英語学習をする上で正確にスペルを覚える必要はないからです。
「英語のスペルは覚えなくていい」(リンクはこちら)
ステップ3:復元した文章を分析する
復元した文章を、元の文章と比べて分析します。
ステップ2の「復元するときに気を付ける点」を参考に、そこを間違えていないかチェックします。完全に元の文章を復元する必要はありませんが、内容、文法、特有の語彙を正しく復元すると、オリジナルの文章に近くなるはずです。
また、自分が復元した文章が文法的に正しいかどうか、別途下記のサイトでチェックします。
Grammarlyは、MS OfficeまたはGoogle Chromeにプラグインをインストールする、Windows/ Macのデスクトップにアプリを置く、またはiOS/アンドロイドのアプリとして使えます。
有料版もあるのですが、無料版でも文法的なミスをチェックして正しい文章を提案したり、スペルミスをチェックしてくれます。また、文章の正確さやわかりやすさを評価してくれる機能もあります。
ディクトグロスの効果
リスニング力の向上
ディクトグロスは、英語を聞いて理解する活動なので、英語の音を聞き取る力と内容を理解する力の両方が向上します。
ライティング力の向上
ディクトグロスは聞いて理解したことを書く活動なので、英語のライティング力が向上します。理解した意味を再構築することで、自分の書きたいことを表現する練習になります。
文法力の向上
ディクトグロスの1つの目標は文法的に正しい英語を書くことなので、文法力がアップします。時制、構文や句読点に注意を払うことで、間違った文法が習得されそのまま定着する「化石化」を防ぐことができます。
「社会人の英文法の勉強法:5つの具体的ステップで完全マスター」(リンクはこちら)
自分の英語力の穴に気づく
ディクトグロスは、聞いて、理解して、文法的に正しく書く活動なので、リスニングやライティングでできていない、自分の英語力の穴に気づくことができます。
また、復元する過程で文法の使われ方や言葉の表現などについて考えることで、気づきが起き、英語で勉強したした知識の理解が深まります。
ディクトグロスをするための参考サイト
TED Talk
TED Talk(リンクはこちら)
米NPOが開催しているカンファレンスで、ネット上でその動画を無料配信しています。話題はIT系からエンタメ系まで多岐に渡っていて、大統領やノーベル賞受賞者などの著名人もプレゼンしています。
- 5分から10分程度のものが多い
- ビデオ3900作品程度(どんどん増えています)
- 日本語の字幕付き
- スピードを1/2~2倍にできる
Greatest Audiobooks
Greatest Audiobooks(リンクはこちら)
Youtubeで著作権の切れた古典作品を朗読しているチャンネルです。
- 朗読した本が約200本
- シャーロックホームズやロビンソン・クルーソー、ハムレットなどジャンルは広い
※YouTubeから文字起こしを取る方法はこちらの記事をご参照ください。
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参考サイト
Dictogloss (Victoria State Government)