一生懸命勉強しているのに、英語が聞き取れない。。。なぜだろう?
そのような疑問をお持ちの方に、この記事では、
- なぜ英語が聞き取れないのか
についてシェアしたいと思います。
英語が聞き取れない理由
英語が聞き取れないのは、主に、
- 個々の音が聞き取れない
- 英語のリズムとイントネーションが聞き取れない
- 英語の音の変化を聞き取れない
- 意味を把握できない
からです。
次に詳しくご説明していきます。
個々の音が聞き取れない
日本語に比べると、
英語は音の要素の数がかなり多い言葉
です。音をどう解釈するかにより数え方が多少異なりますが、日本語と英語の音の要素の数は以下のようになります。
母音 | 子音 | 合計 |
|
英語(A) | 20 | 24 | 38 |
日本語(B) | 5 | 14 | 19 |
A-B | +15 | +10 | +25 |
上の表からもわかる通り、英語は日本語に比べて、母音と子音の数が合わせて25個も多くなります。それぞれの音の聞き分けが完璧でなくともそれなりにできないと、「bit」と「pet」など似た音の聞き取りが難しくなります。
英語のリズムとイントネーションが聞き取れない
英語のリズムとは
日本語は各音節(一文字一文字)の長さがほぼ同じ長さで話されますが、
英語はストレスのある音節と次のストレスのある音節の間の時間が、音楽でビートを刻むように一定の等しいタイミングで話される言葉
です。
英語のリズムと日本とのリズムを模式化すると以下になり、ストレスのある重要な部分が大きく話されます。
日本語のように英語が一語一語同じ間隔で、同じような大きさで聞こえると思っていると、聞き取れなくなります。
「英語が早口に聞こえるのはなぜ」(リンクはこちら)
英語のイントネーションとは
イントネーションとは言葉を話すときの声の高低、または上がり下がりのことです。
イントネーションは、話している人がどういう感情を表したいかを示しています。どんな感情を表したいかによって、イントネーションは変わるので、
同じ単語が同じ順番で並んでいても、イントネーションが変わることで、2つの文は違う意味になる
ことがあります。
英語のイントネーションがわからないと、話されていることの意味を取り違え、文脈がわからなくなるため、聞き取れなくなります。
「英語の疑問文の語尾 上げる?下げる?」(リンクはこちら)
英語の音の変化を聞き取れない
日本語はおおよそ書いてある通りに発音される言葉ですが、
英語は単語を単独で発音する場合と、話しているときに単語を次々と発音する場合で大きな違いがある言葉
です。
連続発話または連続発音と呼ばれているもので、単語と単語のつながりの音が一部脱落したり、ない音が挿入されたり、つながりの音が同化したりします。
会話でも単語を単独で発音したときと同じ音が聞こえると思っていると、この発音の変化が聞き取れないため、英語が聞き取れなくなります。
英語の音の変化の種類
主な音の変化の種類は以下です。
音の脱落(エリジョン)
音の脱落(エリジョン)とは、単語と単語をつなげて発音する際に、音の一部が消えることを言います。例えば以下のようなものです。
- next day(tの音が消える)
- carved structure(dの音が消える)
- texts(/teksts/テクスツではなくて/teks/テクスのように発音される)
- アクセントのないあいまい母音は消えることが多い
リンキング(リエゾン)
リンキングとは、単語と単語の発音がつなぎ合わさってブレンドすることを言います。
リンキング/r/
リンキングRとは、主にイギリス英語(RP)において、単語の最後がRで終わり、そのRが母音に挟まれている場合に、発音されない単語の最後のRが、次の単語にリンクして発音されることを言います。
- her English(rを発音する)
侵入の/r/
侵入のR(”intrusive R”)とは、イギリス英語(RP)で、単語が/ə/, /ɑː/, /ɔː/の音で終わるときに、文字としてのRがないのにRが発音されることを言います。
- I saw it happen. (/sɔːrɪt/)
「イギリス英語のRの発音 そのルールと例外」(リンクはこちら)
リンキング/j/
リンキングJとは、単語が/i:/または/I/の音で終わっているときに、/j/の音がつなぎに発音されることを言います。
- I agree.(/aɪjə/…「アイヤ」のイメージの音です)
リンキング/w/
リンキングWとは、単語が/u:/または/ʊ/の音で終わっているときに、/w/の音がつなぎに発音されることを言います。
- Go on!(/gəʊwɑn/)
音の同化
音の同化とは、単語の最後の音が、次の単語の最初の音と似たような音に変化することを言います。例えば、以下のようなものです。
- ten men(nの音がmの音と同化する)
- that cat(tの音がcの音と同化する)
- this shrine(sの音がshの音と同化する)
- last year(/t/と/j/の音が同化して、/tʃ/の音になる)
意味を把握できない
導入部が聞き取れない
リスニングの最初の部分は、理解を助ける文脈がないので、文章の途中より聞き取りにくい部分です。
そして、英語は話し始めの一番最初に自分の言いたいことの要旨を言うことが多いので、導入部が聞き取れないと、その後の部分も理解しづらくなります。
日本語にしないと意味がわからない
英語を聞いた時に日本語に翻訳しないと意味を把握できないと、聞く文章が長くなった場合は聞きながら頭の中で翻訳するのに追い付かなくなり、聞き取れなくなります。
英語を聞いた時に完全に理解できなくても、おおよその意味を把握できれば、文脈から聞いたことを理解できるようになります。
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参考文献
牧野武彦「日本人のための英語音声学レッスン」大修館書店、2005年
小池生夫編「英語のヒアリングとその指導」大修館書店、1993年