一生懸命話しているのに、ネイティブに話が伝わらない
英語で話していると、何度も聞き返される
このようなことは、誰しもが体験したことがあるのではないかと思います。
そこでこの記事では、
- 英語がネイティブに伝わらず、聞き返される理由
- 伝わる英語を話すためには、どうしたらいいのか
についてシェアしたいと思います。
まとめ
英語が伝わらず、聞き返されるのは、
- ストレスが違う
- イントネーションが違う
- 声が小さく、もごもごと話している
- ビジネス英語を使っていない
- 聞き手が非ネイティブのアクセントに慣れていない
という原因が考えられます。
より伝わりやすい英語を話すためには、
英語のリズム、イントネーション、ストレスにエネルギーを向ける
と、短期間で大きな変化が望めます。なぜなら、非ネイティブが自分の言うことを理解してもらう能力は、個々の音を正しく発音できる力よりも、文章の区切りやストレスのパターン(=英語のメロディー)を再現する能力によって決まるからです。
英語がネイティブに伝わらず、聞き返されるのはなぜか
ストレスが違う
英語を話す時になかなか伝わらず、聞き返される理由の1つ目は、単語または文章のアクセント・ストレスを間違えている場合です。
例えば、
- どの音節にもアクセントがない
- 間違った音節にアクセントがある
- 文章のストレスがおかしい
などがあげられます。
個々の単語の発音には「標準」と言われるもののほか、国や地域により非常に大きな違いがあり、どれが正しいということは言えません。
しかし、英語のストレスやアクセントは個々の単語の発音より違いが少なく、ネイティブが英語を理解する鍵となっています。
したがって、単語や文章のストレスが間違っていると、英語が伝わりにくくなります。
イントネーションが違う
英語を話す時になかなか伝わらず、聞き返される理由の2つ目は、イントネーションを間違えている場合です。
イントネーションとは、言葉を話すときの声の高低、または上がり下がりのことです。イントネーションは、話している人がどういう感情を表したいかを示しています。つまり、どんな感情を表したいかによって、イントネーションは変わります。
英語では、話す言葉だけでなく、イントネーションで多くの意味を伝えています。
例えば、単純にYes/No疑問文なら上げ調子、5W1H疑問文なら下げ調子のイントネーションとは言えません。
状況に応じて、Yes/No疑問文でも下げ調子になったり、5W1H疑問文でも上げ調子になる場合があります。それを間違えると、含みなくただ単に聞きたかっただけなのに、命令していると取られたり、イライラしていると取られる可能性があります。
このように、イントネーションを間違えると自分の伝えたい意味が伝わらず、相手に聞き返されることになるのです。
「英語を話す時、どこで区切るのか:区切りの目安」(リンクはこちら)
「英語の区切り、リズム・イントネーションの練習方法」(リンクはこちら)
「英語の疑問文の語尾 上げる?下げる? そのパターン一覧」(リンクはこちら)
声が小さく、もごもご話している
英語を話す時になかなか伝わらず、聞き返される理由の3つ目は、英語を話す時に声が小さく、もごもご話している場合です。
これは、英語を話す時に自信を持って話せないときに、無意識に起こりがちです。
英語を話す時には、しばしばちゃんと伝わるのか不安になり、聞き手がどう反応しているか非常に敏感になります。相手がきちんと理解しているかどうかを確認するために、表情やボディーランゲージを常にみていて、伝わっていないように感じると、さらに不安になります。
そうなると、どんどん声が小さくなり、もごもごと聞きにくく話すことになるのです。
これは例えば日本語でも、自信のないプレゼンをしないとならないときなどに起こります。うまくできるか不安になって声が細くなり、相手の顔に「興味ない」や「何を言っているのかわからない」と書いてあるときは、さらにもごもごとわかりにくくなる、あの時の感じです。
日本語でも相手に通じにくくなるぐらいなので、それほど流ちょうに話せない英語では、ますます伝わらなくなることが起こりがちです。
ビジネス英語を使っていない
英語を話す時になかなか伝わらず、聞き返される理由の4つ目は、ビジネスで通常使われる単語やフレーズを使っていない/使い方を間違えている場合です。
人は話を聞くときに、話しの流れを無意識に予測しながら理解しています。
例えば「きっと」と相手が話し始めれば、「~に違いない」と文章が終わると予想します。ここで、「~かもしれない」と言われると、不自然な上に、相手の意図がよく理解できません。
この流れを予測する能力は「予測文法」と呼ばれ、言語において、次にどのような語が来るかを無意識的に予測する能力のことを言います。
ビジネスシーンにおいても、人々は、ビジネスで通常使われる単語や言い回しをあらかじめ無意識に持っています。ここでビジネス英語を使っていない/使い方を間違えていると、聞き手に意図がうまく伝わらなくなります。
「社会人の英文法の勉強法:文法学習に「読む聴く書く話す」の全部が必要な理由」(リンクはこちら)
「ビジネスで英語を使うために学ぶべき単語数」(リンクはこちら)
聞き手が非ネイティブのアクセントに慣れていない
英語を話す時になかなか伝わらず、聞き返される理由の5つ目は、聞き手が非ネイティブのアクセントに慣れていない場合です。
ネイティブではないアクセントを聞き慣れていない人は、聞いたことがある人よりも、非ネイティブのアクセントを理解するのに苦労します。
人は、言葉がどのように聞こえるかについて、あらかじめ一定の考えを持っています。
日本語でも例えば、標準語が聞こえると思っていたところに方言が聞こえると、一瞬何を言われているか理解できないことがあるかと思います。
英語でも同じで、こういう風に聞こえるだろうと思っていたのと違うように聞こえると、聞き手は何を言われたか整理するのに、努力をしなければなりません。
ただし、非ネイティブのアクセントも一定のパターンがあるので、それに聞き手が慣れると、伝わるようになる可能性があります。
番外編:えらくない
英語を話す時になかなか伝わらず、聞き返される理由の番外編は、会社でえらくなっていない場合です。
会社でえらくなる、または業界で一定の地位を確立すると、少なくとも聞き返されることがそれほど多くなくなります。
これには2つ理由があって、
- 何度も聞き返すのは失礼にあたるため
- わかりにくい英語でも、内容は聞き手にとって有用なことを言っていることが多いので、一生懸命聞いてくれる
からです。
この番外編は、個人的な体験に基づいているのですが、結構、的を射ているのではと思います。
新入社員だったころに日本人の上司で英語のあまり上手でない人がいたことがあって、時々、日本人の私にも、本当に何を言っているのかわからないときがありました。でも、外国人に聞き返されていることがなかったので、不思議に思い、別の上司に理由を聞いたところ、上記の理由を話してくれたというわけです。
そのとき同時に、
ペーペーのお前がしたら、瞬殺されるぞ
とくぎを刺されました。
えらくなければそこまで一生懸命聞いてくれず、聞き返してくれればまだいいけど、出直してこいと言われる危険性があったからです。
伝わる英語を話すためには、どうしたらいいのか
発音に関する研究によれば、非ネイティブが自分の言うことを理解してもらう能力は、個々の音を正しく発音できる力よりも、文章の区切りやストレスのパターン(=英語のメロディー)を再現する能力によって決まります。
個々の単語の発音を中心に学習した人よりも、ストレスやリズム中心の学習をした人の方が、ネイティブに理解されやすいのです。つまり、個々の単語の発音がより正確であっても、ストレスやリズムが違うと、ネイティブの理解度のアップにはつながりません。
実は、個々の単語の発音を単語レベルで学ぶのは、コミュニケーションとしての言葉としては相いれません。なぜなら、コミュニケーションをとるときは、単語を1つだけを発することは、めったにないためです。
もちろん、個々の単語の発音がいいに越したことはありません。しかし、より伝わりやすい英語を話すためには、英語のリズム、イントネーション、ストレスにエネルギーを向ける方が、短期間で大きな変化が望めます。
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「英語を話す時、どこで区切るのか:区切りの目安」(リンクはこちら)
「英語の区切り、リズム・イントネーションの練習方法」(リンクはこちら)
「英語の疑問文の語尾 上げる?下げる? そのパターン一覧」(リンクはこちら)
「社会人の英文法の勉強法:文法学習に「読む聴く書く話す」の全部が必要な理由」(リンクはこちら)
「ビジネスで英語を使うために学ぶべき単語数」(リンクはこちら)
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参考文献
パッツィ・M.ライトバウン他「言語はどのように学ばれるか」岩波書店、2014年